Date:2021/05/20 21:45
チョコレートが大好きな女の子がいました。
その子はバレンタインデーに仲良しのお友達にチョコレートをあげることにしました。
パパとママのお手伝いをしておこづかいをもらい、お友達が好みそうなチョコレートを買います。
そして……。
※実際に起こりかけたできごとを基に書きました。
ショートショート『チョコちゃん』
あたしの名前はチャコ。
好きなものはチョコレート。
クッキーはチョコチップが入っているものがいい。
バニラアイスよりもだんぜんチョコレートアイス。
友達はみんなイチゴのショートケーキが好きだけど、あたしはチョコレートケーキのほうが好き。
スーパーマーケットに行く時は、お肉を買い忘れてもチョコレートだけは忘れない。
レストランに行った時は、お子さまランチを食べなくてもチョコレートパフェはぜったいに食べる。
それくらいチョコレートが大好きなの。
「チャコは本当にチョコレートが好きだね。そんなにチョコレートが好きなら、これからはチャコじゃなくてチョコと呼ぼうか」
パパとママからそうよばれると、大好きなチョコレートになったみたいでちょっとうれしい。
いつものようにママとスーパーマーケットにいったらビックリ。
だって、おかしコーナーいがいにもチョコレートがたくさんあるんだもの。
今まで見たことのないチョコレートばっかりでどれもおいしそう。
だけど、いったいどうして?
今日からスーパーマーケットじゃなくてチョコレートマーケットになっちゃったの?
「もうすぐバレンタインデーね」
「ママ。バレンタインデーってなあに?」
「チョコレートといっしょに想いを伝える日よ。チョコちゃんも仲よしの子にチョコレートをあげようか」
ママがおしえてくれたとき、あたしはすぐにおとなりさんのことを思い出した。
おとなりさんにはおじさんとおばさん、中学生のおねえさんとそれからチョコちゃんがいる。
本当の名前はわからないけど、たぶんあたしと同じでチョコレートが好きなんだと思う。
いつもおしゃれな服をきていて、おばさんといっしょにおさんぽしたり、お庭であたしといっしょにかけっこしたり、元気で明るい女の子。
「チョコちゃんたちは本当の姉妹みたいね」
おばさんはあたしたちのことを見てこう言う。
あたしは一人っ子だから妹ができたみたいでちょっとうれしい。
だからバレンタインデーには、チョコちゃんにチョコレートをあげようとおもったの。
パパとママのお手伝いをしておこづかいをもらった。
それから生まれてはじめて自分でチョコレートを買ったよ。
バレンタインデーの朝、あたしは一人でおとなりさんちにいった。
チョコちゃんはもう起きていて、元気いっぱいにお庭であそんでいた。
「おはよう」
あたしがあいさつしても気づいてくれない。
「今日はプレゼントがあるの」
あたしはつつみ紙をあける。
「大好きだよチョコちゃん。これからも仲よくしてね」
手のひらの上にチョコレートをのせて想いを伝えると、ようやく気づいてくれた。
チョコちゃんは、うれしそうに走ってきて言った。
「ワン!」
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