Date:2020/02/05 13:00
本『エスケヱプ・スピヰド』 九岡望 電撃文庫
昭和一〇一年夏、廃墟の町“尽天”。
暴走した戦闘兵器に襲われた叶葉は、棺で眠る不思議な少年に出会う。
命令無しに動けないという少年に、叶葉は自分を助けるよう頼む。
それは、少女と少年が“主従の契約”を結んだ瞬間だった。
少年は、軍最強の兵器“鬼虫”の“蜂”九曜と名乗った。
兵器ゆえに人としての感情が欠落している九曜だが、叶葉はそんな彼を一人の人間として扱い交流していく。
徐々に心を通わせていく二人。
しかし平穏な日々は、同じ鬼虫である“蜻蛉”竜胆の飛来によって打ち砕かれー!?
閉じられた町を舞台に、最強の兵器たちが繰り広げるノンストップ・アクション。
第18回電撃小説大賞大賞受賞
つづきはネタバレ注意
かつての戦争で廃墟と化した町で人々は暴走した戦闘機械の脅威にさらされながら生きていた。
少女は戦闘兵器から逃れる最中、棺で眠る奇妙な少年と巨大な蜂に出会い主従の契約を結ぶ。
少年と蜂は超高性能戦略兵器であった。
架空の日本を舞台にしたSFバトルファンタジー。
軍人の屋敷の女中だった少女の回想と兵器となった少年の戦闘シーンの回想から始まり、戦後(現在)に視点が移る。
少女が戦闘機に追われていたらサイボーグ少年と蜂型ロボに出会い「問おう。あなたが私のマスターか」みたいな中二心うずく冒頭はなかなか良い。
契約した瞬間にサイボーグ少年が戦闘機をフルボッコにする熱いシーンも良い。
ありきたりだけど王道展開は嫌いじゃない。
ただ自分は兵器だと主張する少年と人間として接したいという少女の交流もまた王道だけどありきたりに感じてしまってダラダラ日常シーンが続くので退屈。
そこからバトルもあんまない。
バトルもののラノベが好きなわけじゃないけど、仮にもバトルものならそれなりに戦闘してほしい。
それなのに終盤まで全くバトルシーンがない。
盛り上がりに欠ける日常シーンが続いてかつての仲間(サイボーグ青年とロボ蜻蛉)に襲われて人間らしい感情なんか持ったからダメなのだと少年が苦悩するのもありきたりで……。
人間の少女に守られたことで心を入れ替えて自分が兵器としてだけでなく何のために生き残ったのか考えてかつての仲間と闘う決心をしてそこから最終戦に入る。
冒頭で感じた熱が中盤から終盤にかけて冷めてしまったのであんまり引き込まれなかった。
兵器が1~9まであり、1巻は1と9が登場。
作中では全て破壊されてしまったとあるけれど、これ絶対に2巻以降で2~8を出す気だったろうなぁ。
新人賞応募作からすでにシリーズ展開を見越したかのような構成は苦手(個人の意見です)
コックピットの付いたロボットに乗る感覚でサイボーグ化された元人間が虫型のロボットに乗り込んで超スピードで空戦バトルなんてめっちゃ中二心うずくやつと思ったけど、その肝心のロボットが壊れているせいで最後の戦闘しか出てこなかったのは残念でならない。
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