120%CRAAZY

本『サクリファイス』　近藤史恵　新潮文庫



ぼくに与えられた使命。

それは勝利のためにエースに尽くすこと――。

陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。

そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。

アシストとしてのプライド。

ライバルたちとの駆け引き。

かつての恋人との再会。

胸に刻印された死。

青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた！　

大藪春彦賞受賞作。

続きはネタバレ注意です。

自転車競技サイクルロードレースを題材にした青春スポーツ小説。

競技中に起きた事故の原因が人為的なものだったのではないかと推理するミステリ要素もある。

どちらかというとサスペンスかもしれません。

そして再び起きてしまった悲劇の原因も人によるものではないのかと。

人間の感情というか執念というものはかくも恐ろしい。

シンプルな文体で簡潔な描写でだけど、自転車を走らせる様子や熱いレース展開がよく伝わってくる。

専門用語もわかりやすい。

しかし、実際にロードバイクに乗っている方に聞くと間違っている部分や荒唐無稽な部分もあるようなので鵜呑みは良くないかもしれない。

その部分が作者の取材不足によるものなのか、物語をおもしろくするためにあえてそうしているのかはわかりません。

エースにはエースの役割があり、アシストにはアシストの役割がある。

すべてはチームのためである。

しかし、人の道を外れた行為やスポーツマンシップに外れた行為は良くない。

スポーツものとしてはけっこう楽しめた。

推理ものとしては少し首を傾げる展開かなと思ったけれど、シリーズ二作目以降はどうかな

[2回]