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本『ふたり』 赤川次郎

『ふたり』 赤川次郎 新潮文庫



お姉ちゃんは高校二年までしか生きなかった。

でも、私が来年高校一年になり、二年になり、三年になったら、私はお姉ちゃんの歳を追い越してしまう。

それでもお姉ちゃんは、ずっと私の中にいてくれる?

死んだはずの姉の声が、突然、頭の中に聞こえてきた時から、千津子と実加の奇妙な共同生活が始まった……。

妹と17歳で時の止まった姉。

二人の姉妹のほろ苦い青春ファンタジー。

つづきはネタバレ注意


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ある日突然、事故で死んだ姉の声が頭の中で聞こえてくるようになった妹。

序盤は、題名の通り、姉妹ふたりにスポットをあてて描かれている。

自信のない妹がしっかり者だった姉の声に耳を傾けながら不安や苦難を乗り越える。

時が流れるうちに妹は、体も心も少しずつ成長し、それに応じて自信もつけていく。

成長するにつれて姉もあまり声をかけず、妹から話しかけるということも減る。

終盤になってくると姉妹ふたりではなく、その両親にもスポットがあたり始める。

すると、現実にもあり得そうな一家庭の問題が浮き彫りに。

それがまた生々しい。

お父さん、単身赴任先で部下と浮気は……。

心配性なお母さんの単なる勘違いかと思ったら……。

まあ、お母さんもお母さんで問題が……。

いくら精神的に弱いからといっても娘に頼り過ぎでしょう。

将来、主人公がアダルトチルドレンになるのではないかと心配でならない。

「幽霊」という突出する設定があるけれど、それよりも現実で生きている人達を描いた作品だった。

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