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漫画『谷川史子秀作選 ぼくらの気持ち』 谷川史子

漫画『谷川史子秀作選 ぼくらの気持ち』 谷川史子 集英社文庫



【両手でもたりない】

好きで幼なじみになったんじゃない。

あいつとはたまたま家が隣どうしだっただけで……。

中一になっても勝手に部屋に入って起こしに来る幼なじみの真澄。

彼女の鈍さにはとても困ってしまう鼓太郎。

この調子じゃ当分は――当分は気づいてもらえそうにない。

僕の気持ちにも……。

そして僕がどうしてチェロを弾き始めたかも……。

もうすぐバレンタインデー。

けれど今日までバレンタインデーを知らなかった真澄は、鼓太郎に直接チョコが欲しいかどうか聞いてくる。

彼女のデリカシーの無さにますます呆れてしまう。

そんなある日、真澄は1年男子でも頭が良くてスポーツ万能な池宮に告白される。

鼓太郎は恋敵ができてしまい、気が気ではなくなる。

【両手でもたりない・2 抱きしめたい】

春。

今日から私は留年生。

インフルエンザに2度もかかったせいで受験も卒業もできなくなった二羽千世。

「恥じる必要はない」と皆はいうし、実際恥じてもいないけれど。

あーあ……。

15年間まじめに平凡に暮らしてきたし、神様ににらまれるおぼえはない。

なのに、どうして1つ下のガキどもとこれからの1念を過ごさなきゃならないの。

それに、わたしがなにをしたっていうの。

春まで付き合っていた彼氏は卒業式の日に別れた。

暗い気持ちで遅刻して三年生の教室に行くと、周りの視線がとても嫌になった。

おまけに隣の席の池宮という男は、軽くて年下のくせに生意気な奴だった。

だが彼も二回留年しているということを知り、少しだけ親近感がわく。

それから彼が留年した原因や自分に優しくしてくれる理由をたまたま知ってしまい……。

【ぼくらの気持ち】

“男女間の友情は成立するか?”なんてことをよく聞くけど、僕にはわからない。

ただあの子とはともだちでなんかいたくない。

雛と顕太はとても仲が良くて、友達も付き合っていないのと言われる。

――僕は、夏のはじめに彼女に告白している。

そしたら雛は「ともだちでいよう」と答えた。

体よくふられてしまった訳だけど、そのあとも僕らは気まずくなるどころか仲良くなる一方。

でも僕は友達じゃいやなんだ。

ある日、友人たちが気を利かせてくれて僕と雛を二人きりにしてくれた。

これはデートだ!!

空回りすることもあったけれど、なかなか良いデートになっている……はずだったのに。

デート中に雛の中学の男子同級生に会った時から元気がなくなった。

友人に聞いてみると、その人は中学時代の雛の彼氏だったらしい。

今でも彼のことが好きなのか?

だから友達として思ってくれないのか?

そう思ったら急に不安になった。

【あなたのてのひらの】

この気持ちをなんて言ったらいいんだろう。

小さい頃から仲良しの幼なじみの寅彦と羊子。

友達からは仲のいい愛し合ってる恋人同士に見えているみたい。

こういうの愛かなあって思ってた。

あたしたちはただの幼なじみじゃないって思ってた。

今年の夏のあの日まで――。

寅彦が好きなのは彼のイトコで3つ上の女子大生、小鳥さん。

明るくてきれいで世話好きでよく一緒に遊んでもらってた。

こんな日が来るなんて思ってもみなかったけど……。

大口あけて笑っても美人だなんてずるいよなあ……。

くやしいけどあたしも小鳥さんが好き。

【最初のクリスマス】(漫画『谷川史子オムニバス集 君と僕の街で』収録作品Vol.5の街が舞台

クリスマスがくるたびにあこがれてたことがあったの。

「お兄ちゃん、あたしあのバイトやるっ」

ふーんだ、清順のバカ。

初めてできた彼氏にクリスマスイブの予定をつぶされてしまった湯泉川紘絵(ゆのかわひろえ)。

家の店の手伝いなら仕方ないと思ったけれど「湯泉川はそおんな乙女な柄じゃないだろよ」と言われてしまったら……。

そんなガラじゃなくて悪かったわねえ。

どうせあたしはガサツよ。

男らしいわよ。

……そりゃあね。

あたしたちはムードなんてないに等しいわよ。

だけど夢だったの。

好きな人と過ごすクリスマス。

【彼の時間、彼女の時間】(漫画『谷川史子オムニバス集 君と僕の街で』収録作品Vol.5のその後

ごめんね、私彼いるんだ。

そばにはいないけどいるの!

彼氏のリクオが引っ越してから半年が経った。

引っ越したばかりの頃は色々あったけれど、今では元気でやっている。

手紙も交換しているし、電話もできるようになった。

夏休みには二人で旅行にも行った。

ある日、桃花の友人の彼氏が浮気したということを知る。

友人は桃花とリクオの遠距離恋愛について心配してくる。

なんとか同じ本州に住んでいるけれど、電車で5時間もかかってしまう。

リクオのことを信じている。

信じているけれど、不安にもなる。

彼からの手紙に同封された写真には女の子といっしょに写っているものがあったし、電話口から女の子の声が聞こえてくることもあった。

ある日リクオと電話していると、向こうから女の子の声がまた聞こえてきて思わず怒鳴ってしまう……。



良いお話でした。

どれもこれも純粋な愛に溢れていて泣きそうでした。

ストーリーはどこにでもありそうですが、純粋で純情なキャラたちや素敵で心打たれる台詞の数々、惹きこまれる構成が魅力的な作品がたくさん収録されています。

谷川史子さんの瑞々しい感性によって描かれている作品には毎回癒されます(´∀`*)ホゥ

関連リンク

漫画『手紙』

漫画『他人暮らし』

漫画『谷川史子秀作選 僕らの気持ち』

漫画『谷川史子長編集 きもち満月/くじら日和』

漫画『谷川史子オムニバス集 君と僕の街で』

漫画『忘れられない』

漫画『くらしのいずみ』

漫画『東京マーブルチョコレート ハロー、グッバイ、ハロー』 

漫画『谷川史子純愛読み切り集 H』


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