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昔話『ネコ耳メイドとSF執事、そして安楽死探偵』24

前回のあらすじ

もう一回読みなおせ。な!

大変長らくお待たせしました。

申し訳ありませんでした。



昔 となりのオタクな おにいさんは

クリスマスの日に 私に云った

今夜 8時になれば サンタが家にやって来る

ちがうよ それは絵本だけのおはなし

そういう私に ウインクして

でもね 大人になれば あなたもわかる そのうちに






















つまりサンタとは、クリスマスキャンペーンでサンタコスをしたデリヘル嬢だったのです!

























ごめんなさい。

歌手の方もファンの方も本当にごめんなさい。

現実ではもうすぐ冬のクリスマスですが、作中ではまだ秋の文化祭です。

作中の時間も現実と同じように進んでくれたなら、作中の問題をなかったことにできたかもしれないのですけどね。

しかしそういうわけにはいきません。

今、私の目の前には、悩みを抱えた女子高生がいるのですから。

悩める若人を救ってあげるのが年長者の役割というものです。

それが一、二才の違いだとしてもです。

私に奉仕精神など少しもありませんが、話を聞いてしまったからには自分なりの救いの手を伸ばしましょう。

SF「生活が楽になって、学校に通えて、幸せだってことは分かるんです。でも、どうしても受け入れられなくて……」

私「うん……」

SF「お母さんには感謝してるし、新しいお父さんにも感謝してます。でもやっぱり風俗嬢と客だったっていう事実は変わらないし……」

私「そう、だね……」

SF「もう、訳わかんないんすよ……どうしたらいいんすかね……」

私も訳が分かりません。

客の多いメイド喫茶で女子高生ときゃっきゃうふふしていたと思ったら、客の来ない喫茶店で女子高生の重苦しい人生相談を受けていました。

客が来ないと思ったら店員もどこ行ったんですか。

この重苦しい空気に耐えかねて逃げ出しましたか?

それとも探し物ですか

探し物は何ですか

見つけ難い物ですか

カバンの中も、机の中も、探したけれど 見つからないのに

まだまだ探す気ですか
  
それより私と踊りませんか

夢の中へ 夢の中へ

行ってみたいと思いませんか

夢の中へ行けたらどんなにいいでしょうか。

私「後輩は……どうしたいの?」

SF「どうしたい……?」

私「えっと、ご両親に対して感謝と嫌悪の両方の気持ちがあるんだよね。それが原因で性的なものに拒否反応がある。それはやっぱり、直したいの?」

SF「……直したいです」

私「じゃあ、直そうか」

SF「どうやって?」

私「ありのままを受け入れればいいんだよ☆」

私は愛想笑いを浮かべて言いました。

それを受け入れられないから苦しんでいるのに、なんとも無責任な発言だと思います。

それでも受け入れるしか他に直す方法がないと思うのです。

私「お父さんが風俗通いをしていたらしいけど、それっていけないの?」

SF「いけなくは……ないですけど……」

お父さんは風俗通いをしていて後輩のお母様と知り合いました。

後輩は金で自分の母親を買っていた男を父親と呼ぶことに抵抗を感じるようです。

しかしそれはいけないことでしょうか。

自分が働いて稼いだお金を何に使おうがその人の自由だと思います。

私「女を買っていたんじゃなくてサービスや女性と接する時間を買っていたと考えればいいんじゃない?」

SF「はぁ……」

私「それに、後輩は自由恋愛推奨だったよね?」

SF「そうですけど……」

私「じゃあ、ソープランドで出会った男女が恋愛した結果、結婚に至ったと考えれば……」

私はチラリと後輩の反応を窺います。

SF「ソープランドだけに自由恋愛っすか……」

私「そうそう。お風呂に入っていたら女性従業員と恋しちゃいました♪っていうノリで」

SF「ふざけてます?」

私「すみませんでした……」

少し調子に乗りすぎました。

他人の悩みや問題を解決する際には、舌先三寸・口八丁でヘラヘラ笑いながらするのがいいです。

変に真面目に考えすぎると、自分まで気分がおかしくなってきてしまいますからね。

かつて真面目に他人の問題に関わりすぎた私は、精神が崩壊し身体を破壊しそうになりました。

続いて、お母様の問題を解決しましょう。

私「風俗嬢って儲かるのかな?」

SF「昔はかなり良かったらしいっす。今は昔ほどじゃないけど、普通のアルバイトよりは……」

私「じゃあ、お母さんは合理的な判断をしたのかな」

SF「短絡的の間違いじゃないすか?」

後輩は重苦しい表情をしています。

確かに女性が手っ取り早く大金を稼ぐなら水商売か風俗がいいと考えるのは、短絡的かもしれません。

しかし、後輩のお母様はすぐにでも決断をしなければいけない状況にいたのではないでしょうか。

DV・ギャンブル中毒・アル中のクズ三冠王の夫と別れ、母一人子一人で生活しなければいけません。

実家からの援助は期待できません。

そんな状況の中、自分の身体を売ることを考える決断をしたのでしょう。

まあ、後輩のお母様がどのような考えで風俗嬢になることを決断したか、今となっては考えようがありませんけどね。

SF「それでも……それでも、なんで……」

後輩の表情が今にも泣きそうな物に変わりました。

私「それに、お母様がどんな職業に就いてもいいと思うけどね」

SF「どうして先輩がそんなこと言えるんですか!」

今度は怒り顔です。

怒った顔も素敵だよ、と冗談が言える状況ではないので言いません。

そもそも私はそんな台詞を言う性格ではないので言いません。

私「日本は職業選択の自由が認められているんだから」

SF「はぁ!?」

私「え、知らない? 小学校の社会の時間で習わなかった?」

SF「知ってますよ! 知ってますけど…………あは……あはは」

後輩の顔に笑みがこぼれました。

泣きそうになったり怒ったり笑ったりと女子高性は大変ですね。

感情を殺してばかりの私はうらやましく思います。

心理カウンセラーの方にもよく言われます「あなたは感情を豊かにした方がいい」と。

子どもの頃に感情を殺してばかりいると、大人になって苦労するのですね。

この年齢になっても人を信用できませんし、人の言葉を素直に受け入れられませんし、人を本気で愛せないのです。

まさに人間失格ですね♪

何にせよ、後輩の精神的負担を軽くすることができたでしょうか。

SF「…………先輩は変ですね」

よく言われます。

SF「かなり変わってます」

そうかもしれません。

SF「でも、あいつが先輩に惚れたのも分かる気がします」

私「さっきも言ったけど、私は偽妹ちゃんとは付き合わないよ」

SF「年上好きなんすか?」

私「どっちも好きだよ」

SF「節操無いっすね」

私「ストライクゾーンが広いと言ってほしいです」

SF「不能のくせに生意気っすね」

私「誰がEDだ、おい」

SF「まあ、ゴムはしてくださいね?」

私「はぁ……」

なんだか話の流れが変な方向にいっていますね。

SF「ヤればできる!って言いますし」

私「最近の女子高生はわけがわからないよ」

SF「避妊マジ大事」

私(先人マジ涙目)

SF「ドヤァ」

私(なんかうぜぇ)

SF「テヘペロ☆」

私(ちょっと可愛い)

SF「そうそう、私、先輩は好みじゃないですよ」

私「喧嘩売ってるの?」

SF「違いますよー。あくまで見た目の話です」

私「いじめ? 泣くよ?」

もしくは死にます。

遺書には「目つきが悪くてごめんなさい。生きるのが嫌になりました」と書いておきます。

SF「で、あいつのことはいつフルんですか?」

私「今日」

SF「早いっすね」

私「このままずるずる引き延ばしてもお互いのために良くないからね」

私は眠い目を擦りながら教室の時計を確認します。

まだまだ文化祭は続きそうです。

私が深いため息をつこうとした時、後輩が口を開きました。

SF「ありがとうございました、先輩♪」

後輩は、肩の荷が下りたような優しい表情を見せました。

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