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本『植物図鑑』 有川浩

『植物図鑑』 有川浩 角川書店



樹木の樹って書いてイツキって読むんだ。

さやかが彼から直接聞いた個人情報はそれだけだった。

出会ったのはまだまだ夜が凍りつく、冬終わりのかけの休日前夜。

吞み会の帰り、一人暮らしの自宅に帰ろうとしていた平凡なOL河野さやか。

そしてマンションのポーチに近づいた時、彼女はそれを見つけた。

ポーチの植え込みに放置してある黒いゴミ袋――ではなく丸くなって転がっている同年代の男。

驚きながらもそっと手を伸ばすと、男は目を覚ました。

「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」

「咬みません。躾のできたよい子です」

酒に酔っていたせいか、笑わずにはいられなかった彼女は男を自宅に招き入れる。

普段から料理をしないさやかは彼にカップラーメンを食べさせ、風呂に入れてやり、気づいたらベッドに倒れ込み――そのまま寝た。

翌朝目を覚ますと布団の中に入っていた。

キッチンから男が顔を出し、驚く彼女を制止してから昨晩のことを話す。

それから男が作ってくれた朝ごはんを食べてから色々話をした。

男はイツキと名乗るだけで、それ以外のことをなかなか教えてくれなかった。

住む場所もなく困っているという彼に、さやかは提案する。

「もし、行く先ないんなら――ここにいない?」

そこから始まる二人の生活。

仲良く二人で散歩する。

イツキに草花のことを教わりながら道端の草を摘んできて料理する。

そして二人の関係も少しずつ変化していく――。

つづきはネタバレ注意。

【関連リンク】

本『図書館戦争』 第一弾

本『図書館内乱』 第二弾

本『図書館危機』 第三弾

本『図書館革命』 第四弾 本編完結!

本『別冊図書館戦争Ⅰ』 外伝

本『別冊図書館戦争Ⅱ』 外伝

本『阪急電車』

本『植物図鑑』


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有川浩『植物図鑑』は、ベタベタな甘い恋愛ものが好きな人や白馬に乗った王子様を本気で期待するような人なら楽しめる。

平凡なOLが生き倒れの男を拾ってそのまま同棲。

とうに処女を捨てた女の貞操観念と彼氏と別れたばかりの女の恋愛脳はヤバイ。

マジヤバイ。

乙女(笑)とかスイーツ(笑)とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。

自分が戸籍上「女」だと自覚がある方は、たとえイケメンであっても見ず知らずの男を自宅に招いてはいけない。

基本的には、二人の男女がいちゃいちゃしながら道草を摘んでは食べ、摘んでは食べの繰り返し。

あとは相手にすり寄る異性の存在に気づいて嫉妬し、勝手に不機嫌になるという話。

その嫉妬する姿を見て「甘酸っぱい。微笑ましい」と胸をときめかせるか、「付き合ってもいないのに恋人気取りとか何様だ。ウゼェ」と憤るか。

反応の違いでこの作品に対する評価は分かれる。

本編が終わった後に『カーテンコール』ということで短編が二つ。

イツキがいなくなって再び戻ってきてからの二人のいちゃラブを描いた『ゴゴサンジ』はあっても良いと思うけど、なくてもいい。

イツキがさやかの元を離れて実家(華道家の由緒ある家)に戻って家庭問題(後継ぎ問題)を解決していたという『午後三時』はいらないと思う。

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