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昔話『ネコ耳メイドとSF執事、そして安楽死探偵』23

前回のあらすじ

「タコヤキマントマンはアンパンマンの前では影が薄いよね」

「うん。前回のあらすじは?」

「……奥さまは魔女だったのです」

「うん。違うよね」

「……お母様は風俗嬢だったのです」

「うん。よくできました」

(昔話をすっかり放置していました)

(申し訳ありませんでした)




SF「私の母親は――風俗嬢です」

私「……」

突然のカミングアウトに驚きを隠せませんでした。

なんで今?

なんで私?

え、なんで?

いや、本当になんで?

合コンで知り合った女と一度だけセックスして、その一ヶ月後に子どもができたと言われた男の心境はこんな感じですか?

少し違う気がしますね。

コロッケ定食を注文したらキャベツの千切りがなかった時のからくり侍の心境はこんな感じですか?

全然違いますね。

そもそも私は、コロッケにキャベツの千切りがなくても許せます。

キャベツの千切りがなくても「キャベツはどうした!?」と店員にクレームをつけるような人間ではありません。

「心は広いけど、愛は浅いよね」と友人から言われる私ですからね。

愛が重いのと愛が浅いの、どちらがまずいのでしょうか。

まあ、そんなことはどうでもいいのです(・∀・)キニシナイ♪

そう言えば、肉屋のコロッケはおいしいという風潮はいつ頃できたのでしょうか。

みんな本当に肉屋でコロッケを買って食べたのでしょうか。

そう言う私は肉屋でコロッケ買ったことないんですけどね。

本当に美味しいかどうか、今度確かめてみましょうか。

ああでも、トンカツ定食にキャベツの千切りは欠かせないと思います。

私「現役?」

SF「元です」

後輩は苦笑しました。

現役だったら後輩のお母様を指名して入店しようかと思ったんですけどね。

私「初めまして、××××です。後輩にはいつもお世話になっております。今日はお母様にお世話になります」
























いやいやいやいやいやいや。

笑えませんよ。

私「業種は?」

SF「ソープです」

私「へぇ」

SF「はい」

これって一歩間違えたらセクハラじゃないですか。

いやいや、セクハラですよね。

高校の文化祭で女子高生相手に卑猥な言葉を言わせている狂人の図、という注釈付きでネットにアップされてしまいますよ。

本当にどうして私に話したのでしょうか。

ご家庭の問題に踏みこんでいいのは、特別な資格を持った人たちだけですよ。

ヒーロー気取りの偽善者や一般人のふりをした狂人には資格などありません。

私「どうして私に話してくれたの?」

SF「ていうか、嘘だと思わないんですか?」

この話が嘘だとしたら、母親は元男性だったというオチでしょうか。

きっと違いますね。

オチを求めたがるのは大阪人くらいのものです。

私「嘘なの?」

SF「……」

まあ、どちらでもいいのですけどね。

どうでもいいのではありません。

どちらでもいいのです。

話の最初を聞いてしまったなら最後まで聞きたくなるのが人間です(一部例外を除く)

関わってしまったのなら満足するまで関わりたくなるのが人間です(一部例外を除く)

私の好奇心がそうさせるのです。

ちなみに好奇心が殺せるのは猫だけです。

できれば人間も殺してくれたら良かったのに、と思わないことはありません。

好奇心旺盛なあまり宗教団体に単身潜入してしまった私からのお願いです。

信者のお金で食べるご飯はおいしかったです♪

私「よかったら聞かせてよ」

なかなか話そうとしない後輩を促します。

いつだって悩める若人を助けるのは年上の人間の役目です。

まあ、私と彼女は一つ二つほどしか年齢差がありませんけどね(・∀・)

私「私じゃ何もできないけどね。それでもいいなら……」

SF「いいんすか?」

私「お好きなだけどうぞ」

SF「自分語りとか……引きません?」

私「自分語りは弱い人の特権だから」

自分語りとは、弱い人の心の叫びだと思うのです。

弱い人は、自分の弱さを語ることで救いを求めているのです。

声をかけてほしいから、手を差し伸べてほしいから、救ってほしいから、自分語りをするのです。

SF「先輩は強い人ですか?」

私「弱いよ」

即答しました。

私は『人類最弱』という不名誉な称号を得られるほど弱いと自覚しています。

たった一言で精神が崩壊し、たった一度の裏切りで人間不信になり、たった一人の死で生きる気力を失い、たった一つの約束で自殺を図るような人間です。

ポケモンに例えるとコラッタかポッポでしょうね。

草むらを駆け抜ける少年の足を止めることすらできないでしょう。

そうして誰の目にも止まることなく、草むらの影で人知れず死んでいくのです。

私「あー、でもいいのかな」

SF「何がですか?」

私「弱い人が弱い人の話を聞いたら、ただの傷のなめ合いになるかも」

SF「舐め合いてなんかエロいっすよね」

私「性的なもの嫌い設定はどうした」

SF「設定じゃねーすよ」

まあ、それに関してもどちらでもいいです。

それから後輩は、ポツリポツリと自分語りを始めました。

SF「母が私を産んだのは、高校生の時でした」

私「へぇ。中絶しなかったんだ」

SF「先輩はなかなか残酷なことを言いますね」

私「ごめん……配慮が足りなかった……」

SF「いいっすよ。結果的にはそうした方が良かったと思いますし」

あらあら、若くしてすでに生きることを諦めている方ですか。

その考え方はいけませんね。

人を人でなくしてしまいますよ。

人間として失格扱いになってしまいますよ。

それでもいいんですか?

SF「母は私を産んで実家から勘当されたみたいっす」

私「父親は?」

SF「顔も名前も知りません。ただ、親としても夫としてもクズだったみたいです」

顔も名前も知らない男をクズ呼ばわりですか。

SF「DVがひどかったみたいです。金があったらギャンブルと酒につぎ込んでたみたいだし」

私「ああ、典型的なクズだね」

世のお父さま、旦那さま。

ギャンブルもお酒も程々が一番ですよ。

SF「そのクズとは一年くらいで別れたらしいっす」

私「なるほど。それで、別れてから風俗嬢を始めたの?」

SF「安直な考え方ですよね」

私「でも実際、給料がいいのは確かだからね」

SF「生活のためですからね」

私「うまい棒売りの女子高生を嫌ってた理由がようやく分かった」

後輩のお母様は生活のため、生きるため、子どもを育てるために風俗嬢として働き続けました。

しかしうまい棒売りの女子高生たちは、生活のために援助交際をしているわけではないでしょう。

小遣い稼ぎのため、遊ぶ金のため、自分の欲求を満たすためでしょうね。

そんな彼女達と昔の母親を重ねて嫌悪しているといったところでしょうか。

しかし……。

私「でもさ、他人が何のために身体を売ろうが後輩には関係ないよね。気にしなければいいんじゃないかな」

私は思ったことをそのまま口に出していました。

決して援助交際を承認しているわけでも推奨しているわけでもありません。

けれど結局は他人事なのです。

他人がどんな方法でどんな人達からお金を稼ごうとも気になりません。

私、気になりません!

ここの文化祭ではお料理対決やクイズ大会などは開催されていないのでしょうか。

もしくは『七色インコ』のコスプレしている可愛い女の子はいないのでしょうか。

SF「本当に身体を売ってるなら私だって何も感じませんよ」

私「どういうこと?」

SF「男がシャワー浴びている間に財布を抜き取る。時には美人局。身体は綺麗なまんま」

私「通報していい?」

SF「証拠がありません。でも……」

私「うん?」

SF「ムカつきますね。うちの親は風俗で身体売って金作って私育ててくれたのに……」

私「うん」

SF「それなのにあいつらは……本当ムカつく」

徐々に後輩が抱えている悩みや怒りが見えてきましたね。

しかしまだ底が見えていません。

私は彼女の性的なもの嫌いの原因を知らなければいけないのです。

ここは疑問に思ったことを率直に聞いてみましょう。

彼女の心を傷つけないように気をつけて……。

私「お母さんが仕事をやめるきっかけて何だったの?」

SF「結婚です。二度目の」

再婚ですか。

再婚相手の方は、風俗嬢という過去を知っているのでしょうか。

そもそも出会いはどんなものだったのでしょうか?

聞きたいことがありすぎます。

SF「嬢と客として出会ったらしいっす」

へぇー。

そういうことだったんですか。

やはり性的な物嫌いの原因はこれなんですかね。

母親の職業が風俗嬢という事実は受け入れられても、新しい父親が母親を金で買っていたという事実は受け入れられなかったということです。

SF「バツイチ子持ちのうえに風俗嬢やってた母と結婚してくれて感謝しています。でも……」

感謝と嫌悪と祝福とその他諸々の感情がごちゃまぜになっていますね。

うへぇ。

面倒で複雑なトラウマ抱えていますね、この子は。

子どもの心の許容量を考えて情報開示をしてくださいよ、ご両親。

どうか彼女を助けてください、本物のヒーローさん。





















そう都合よく登場するわけがないのですけどね。

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