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昔話『ネコ耳メイドとSF執事、そして安楽死探偵』16

前回のあらすじ

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*申し訳ありません。大変長らくお待たせいたしました



私は関西風お好み焼き、偽妹ちゃんはソース焼きそばを食べます。

青のりは少なめだから前歯につく心配も少なめです。

私(このお好み焼き……中が粉っぽい……マズい……)

高校の文化祭だから期待はしていませんでしたが、これなら自分で作った方が美味しく作られると思います。

時折、偽妹ちゃんは笑顔で話題を振ってくれます。

私は苦笑いを浮かべながら振ってくれた話題に応えたり話題を変えたりします。

別に彼女の話がつまらないとか私にとって都合が悪いからではありません。

噛めば噛むほどお好み焼きの粉っぽさが口内を襲うのです(´・ω・`)オドヴェア

食べ物が喉を通ってくれません。

先ほどからお好み焼きを口に入れた直後に水で流し込む作業を繰り返しています。

これはもう食事ではありません。

作業です。

右手で箸を使ってお好み焼きを口に入れます。

左手でコップを持って水を流し込みます。

延々その繰り返しなのです。
 
時給840円でどうでしょうか?

まあ、そんなことはどうでもいいのです。

私「すみませーん、お水くださーい!」

早くも二杯目のお冷がなくなってしまいました。

給仕担当の学生はすぐに水の入ったピッチャーを持ってやってきました。

そして私と偽妹ちゃんのコップに水を注ぐと、さっさと定位置に戻っていきます。

ちなみに現在はお昼時です。

それなのに客は私と彼女の二人だけです。

そんな経営状態で大丈夫ですか?

大丈夫ではありません。

問題です。

しかし、ただの客である私達にはどうすることもできないのです。

私ができるのは目の前にある料理を残さず食べることだけです。

なんとか料理を食べ終えて、二人分の代金を支払ってから店を出ます。

妹「後でお金払いますね」

宣伝用のプラカードは持ってきましたが、財布や携帯電話を持ってくることは忘れてしまったそうです。

私に昼食をおごらせるためにわざと持ってきたのではないと思います。

偽妹ちゃんは腹黒い考え方のできる子ではありません。

彼女は誰もが認める清楚派純情黒髪乙女ですからね。

だって初デートにお弁当を持ってくるような子ですよ?

もうね、ビックリでしたよ。

漫画やアニメの見過ぎだろってツッコミを忘れるほどの衝撃でした。

まあ、そんなことはどうでもいいのです。

SF「よっ!」

妹「あ、SFちゃん」

いつからそこにいたのでしょう。

執事服を見事に着こなす後輩が立っていました。

執事服に収められたSFは今も窮屈な思いをさせられています。

今すぐ助けてあげたいところですが、私にはその資格がありません。

なぜなら私はラブコメの主人公に向かない人間だからです。

ラブコメの主人公に向いているのはきーちゃんの恋人の友くんのような人です。

妹「そろそろ時間?」

SF「うん。早く行ってあげて」

そろそろ偽妹ちゃんのシフトの時間のようです。

妹「すみません、ご主人様。午後の仕事をしなければいけないので戻りますね」

私「お仕事がんばってね」

妹「はい。帰るときにまた来てくださいね」

そう言い残して走っていきました。

そして廊下の角を曲がって階段をトンテンシャンと上っていったようです。

SF「ゆうべはお楽しみでしたね」

私「将来は牧場経営の女の子と結婚して動物の世話をしながら暮らしたいです」

SF「先輩の鎖骨エロいっすね。舐めていいすか?」

私「ちっちゃな頃から愛と勇気だけが友達でーアンパン男と罵られー蔑まれー」

全くかみ合ってない会話が数分続きました。

日本語って難しいですよね。

そのうち私と彼女の共通言語もとい共通電波が見つかり、会話が可能になりました。

SF「チョコバナナ食べませんか?」

私「屋台は一通り見て回ったけど、チョコバナナはなかったと思うよ」

SF「いえ、私のです」

私「…………」

予想していなかった言葉なので言葉に詰まってしまいました。

落ち着きましょう。

まだ慌てるような時間ではありません。

SF「先輩ってどんな子がタイプすか?」

私「好きなタイプ?」

イカレた女の子、なんて言ったら引かれますよね。

イカレた女の子は可愛いくておもしろいんですけどね。

一度そういう子と付き合ってしまうと、二度と普通の女の子では満足できなくなってしまうほどに。

ここは波風立てないためにも嘘をついておきましょう。

私「相性がいい人かな」

SF「体の相性ですか。ヤッてから考えようってことですね!」

私「うん、私が悪かった。少し変わった子が好きかな」

嘘をつくなら優しい嘘にしておきましょう。

私「というか、何してんの?」

SF「手を握ってます」

いつの間にか私と後輩の手と手がぎゅーっと握られています。

最近の女子高生の行動はよく分かりませんね。

これも全てジェネレーションなんちゃらのせいです。

もしくは時代のせいです。

何でもかんでも人のせいにするのはいけないことですが、社会のせいにするのもいけないことでしょうか。

私は誰かに誤解されないために手を離します。

SF「あんっ♪」

私「誤解を招くような声を出すな」

SF「先輩の手と爪は綺麗っすね。手入れしてます?」

私「してないよ」

SF「それに小さくてやわっこいです」

私「そのせいでピアニストになる夢を諦めたけどね」

SF「なりたかったんですか?」

私「いや、全然」

意味不明の極みですね。

さすがの後輩も苦笑いでした。

SF「文化祭、楽しめてますか?」

私「うん、偽妹ちゃんといっしょに色々見て回れたから」

SF「そうすか……」

私「メイド喫茶は忙しかった?」

SF「そっすね。わりと繁盛してますよ」

私「今は休憩だよね。昼飯はどうするの?」

SF「どっかで食べようと思ってますけど」

とりあえず家庭科室の料理だけは食べないように忠告しておきました。

歩みを進めるたびに胃の中のお好み焼きがシェイクされて気分が悪くなります。

なかなか消化されないお好み焼きをリバースしたいです。

後輩に別れを告げる気力もないので黙ってトイレに向かいます。

SF「ちょっと待ってくださいよ」

私「なに? 偽妹ちゃんに色々おごったから金ないよ?」

SF「おごれなんて言ってないっすよ」

私「はぁ……」

気持ち悪さがこみ上げて話す気力もなくなってきました。

どうにか聞く気力だけは残っているので立っていられます。

しかし、立っているのもやっとなのか、あっちにふらふらこっちにふらふらと今にも倒れそうです。

私が死んだら遺骨は川に撒いてください。

どうかよろしくお願いします。

世界の中心で遺骨を撒くよりも簡単な作業だと思います。

ここは10円でやっていただけませんか。

私の命にうまい棒と同等の価値があるかは疑問ですが。

SF「危なっ!」

今にも倒れそうになったところをSFが支えてくれました。

「人」という字は、人と人が支え合ってできたものらしいですよ。

皆さんには支えてくれる人がいますか?

私「ごめん。ありがと」

私が彼女から離れようとすると、いつの間にか手をがっちり握られていました。

本当に何なのでしょう、この女は。

目の前に大きくて柔らかそうな物が二つあります。

今なら手を伸ばす必要もないほどの距離にあります。

おまけに香水なのか何なのか、彼女の身体からは甘い匂いがします。

このまま胸に顔をうずめて甘えたくなります。

小さい頃に誰かに甘えるという体験が少なかったことが影響しているのでしょうか。

小さい頃に誰もが一度は体験したはずの甘えるという行為を、私は知らずに育ってきました。

まあ、知らずに育ったところで何の支障もないと思うんですけどね。

たびたび昔のことを夢に見て心を乱すことは何度もありますけどね。

あ、ヤバイ……涙が……。

ようやく落ち着きを取り戻し始めた私に、後輩が追い打ちをかけてきました。

SF「揉んでもいいっすよ」

私「は?」

いいんですか?

本当にいいんですか!?

心の中で誰かに許可や同意を得ようと声をかけますが、反応はありません。

許可も同意もなく触れることは犯罪です。

肉体的に死ぬことは望みますが、社会的に死ぬことは望んでいません。

どうしようかなー、と考えるふりをしていると耳元で後輩が囁きました。



















SF「好きです」





















私「……」

*安心してください。これは現実にあった物語です。

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