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本『友情』 武者小路実篤

『友情』 武者小路実篤



脚本家の野島と作家の大宮は互いに尊敬し合い、深い友情で結ばれている関係だ。

二人とも仕事に力を注いでいるが、成果は大宮のほうがやや上だ。

なかなか野島の脚本を良い評価をしてくれる人はいなかった。

それでも大宮はいつも野島を勇気づけてくれていた。

そんなある日、野島は友人の仲田の妹・杉子に恋をする。

固い友情で結ばれた大宮に包み隠さず打ち明けると、やはり大宮は親身になって話を聞いてくれた。

杉子に会うために仲田の家へ大宮と共に行くと、彼女はいつでも自分たちに無邪気な笑顔を向けてくる。

野島は杉子に大切にされている感覚を覚え、なぜか大宮は杉子に対していつも冷淡な対応をしていた。

月日は流れてある時、大宮が「ヨーロッパに旅立つ」と野島に告げる。

野島は友人と別れる寂しさと杉子を一人占めできる安心感の狭間で悩む。

だがそれ以来、杉子の家には行かなくなり遊ばなくなってしまう。

野島は思い切って杉子にプロポーズをしたが、あっけなく断られる。

それから杉子は突如ヨーロッパへ旅立ち、その後野島のもとに一冊の本が届く。

それは大宮が抱き続けていた心の内を明かしたものだった。

そして野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓うことになる。

青春時代における友情と恋愛との相克をきめこまかく描き、時代を超えて読みつがれる武者小路文学の代表作。

本『愛と死』 武者小路実篤

本『友情』 武者小路実篤

本『棘まで美し』 武者小路実篤

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