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昔話『笑年傷女』 8

前回のあらすじ

わたしたちは、壊していく

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私は映画が好きです。大好きです。

泣けるものから笑えるもの、ドキドキするものからワクワクするものまで色々な種類の映画が好きです。

今日は世界が崩壊する映画の話をしましょう。

世界が壊れる――なかなか素敵な設定だと思いませんか?

世界崩壊なんて現実ではありえないとは言いませんが、そう簡単に起こらないのが現実です。

それが映画では簡単に世界が崩壊してしまいます。

巨大隕石が落ちてきたり、怪獣が暴れまわったり、病原菌が蔓延したり、津波が押し寄せてきたりと色々ありますね。

よくそんなに世界を崩壊させる原因を思いつくものだと、制作者の構想には感心させられます。

そんな時にふと思ったのですが、私達は現実世界を壊すことができるでしょうか。

世界崩壊ですかー。

今すぐ壊せるとは思えませんし、壊したいとも思いません。

そんなことを考えるのは過激派テロリストやカルト宗教団体くらいでしょうか。

女「ねぇ、本気でやるの?」

隣の席の女子は問いかけてきます。

私「怖くなった?」

私はニヤニヤ笑って冷やかします。

女「壊す」

私「協力するよ」

女「友達……だから?」

私「そ。友達だから」

彼女は訝しげな表情を見せます。

私は愛想笑いを崩しません。

女「一つ聞いていい?」

私「どうぞ」

女「どうして協力してくれるの?」

私「友達だからじゃダメ?」

女「頭おかしいんじゃないの?」

不機嫌そうな顔と声ですぐさま反論します。

私は少し考えてから答えます。

私「吐き気がするんだよ」

女「え?」

私「ああいうのを毎日見せられると気分が悪くなるんだよ。少しくらいは我慢するけど、もう限界だ。だから気分が悪くなる原因をなくすために、君に協力することにしたんだ」

当初の彼女の予定では「彼女と私の気分を悪くさせる原因たち」の私物を目の前で破壊するというものでした。

それを聞いた私はその計画をすぐに却下しました。

奴らの私物を破壊したところで何の痛みにもなりませんし、これでは被害者であるはずの彼女が加害者扱いされてしまいます。

そこで私は以前から温めておいた計画を彼女に伝えました。

彼女は驚き呆れていましたが、なんとか説得することに成功し、こうして放課後の教室で準備を進めてきました。

女「あたし、何もしてないんだけど……」

私「……」

彼女の言う通りです。

準備と言いましたが、実際は放課後の教室でだらだらと話すことしかしていません。

女「本当に、大丈夫なんだよね?」

彼女は不安そうな声で聞いてきました。

準備はすでに整っています。

あとは計画を実行に移すだけですから、今のところ何の問題もありません。

私「大丈夫だよ」

私はにこやかな笑顔を作って安心させてあげました。

それでも不安は拭いきれないようで、彼女の顔から不安の色が消えません。

そして計画を確かめるように言葉を発しました。


























女「今夜、あたし達は学校を燃やす」




























私達二人の力では世界を壊すことはできません。

それでも学校を壊すくらいならできます。

それに、学校を崩壊させるのはいつだって生徒の役目なのですよ♪

















私「ああ本当に――夕日が綺麗だなぁ」





















真っ赤な夕焼けが私と彼女をいつまでも照らしています。

夜に燃える学校は、夕焼けと同じくらい綺麗なのでしょうか。

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