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2015/07/27 本『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹
本『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹 創元推理文庫 鳥取県西部の紅緑村。 山陰地方の山脈の奥の方に住んでいると言われる“辺境の人”に置き忘れられた幼子が一人。 この子は村の
2011/09/15 本『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lolipop or A Bullet』 桜庭一樹
本『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lolipop or A Bullet』 桜庭一樹 角川文庫 その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。 見つけたくない「あるもの」を見つけてしまう

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本『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹

『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹 創元推理文庫



鳥取県西部の紅緑村。

山陰地方の山脈の奥の方に住んでいると言われる“辺境の人”に置き忘れられた幼子が一人。

この子は村の若夫婦に引き取られ、すくすくと育っていく。

幼い女の子は、物心ついたころから不思議なものを見た。

それは掛け軸の文字が勝手に替わって示す予言であったり、死者が部屋に入ってきて身振り手振りで説明したり、ときには意味のわからない映像として視ることもあった。

その中でも“一ツ目”の男が空を飛ぶ姿を見たことは、ずっと覚えていた。

後に鉄業で財を成した旧家・赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。

これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。

赤朽葉毛毬は猛女であり鉄の女であったが、ただ一つ勝てないものがあった。

それはなにかというと死者であった。

毛毬は戦いに明け暮れて生きた激しい女であったが、そこここで不思議と死者に足を取られた。

血気盛んな彼女は無免許で乗ったバイクやチャリンコで、仲間とともにぱらりらぱらりらと村道を駆け抜けていた。

そして暴走族<製鉄天使(アイアンエンジェル)>を結成して仲間と走る青春を送り、死ぬ直前まで少女漫画を描きつづけた赤朽葉毛毬。

これが、わたしの母である赤朽葉毛毬だ。

そして語り手であるわたし、赤朽葉瞳子。

わたし自身には、語るべき新しい物語はなにもない。

ほんとうに、なにひとつ、ない。

そんなある日、祖母の万葉がわたしに言った。

「おまえにだけ、言うけれどねぇ」

「わしはむかし、人を一人、殺したんよ。だれも、知らないけれど」

「だけど、憎くて殺したんじゃないんだよ……」

それが万葉の最期の言葉だった。

祖母が死んだ。

――祖母が、殺人者だったとは。

何者でもないわたしは、祖母がいったい誰を殺したのか探ることにした。

旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに描き上げた稀代の雄編。


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本『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lolipop or A Bullet』 桜庭一樹

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lolipop or A Bullet』 桜庭一樹 角川文庫

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。

見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。



中学二年の秋頃、転校生の海野藻屑があたし(山田なぎさ)のクラスに乱入してきた。

通路を挟んだ隣の席の男子生徒、花名島がボソッと教えてくれた。

彼女の父親は海野雅愛だと。

海野雅愛はちょっと昔の有名人で、この町の人間なら誰もが知っている曲を歌っていた。

その曲は二番まではとても綺麗だが、三番は、まるで快楽バラバラ殺人だ。

海野藻屑は「へんなやつ」だった。

小刻みに震えているし、二リットルボトルのミネラルウォーターをいつも持っているし、自分は人魚だと言いはるのだから。

自己紹介を終えて席につこうとする時、彼女は派手に転んだ。

立ち上がった後、海野藻屑はあたしを見て「死んじゃえ」といった。

あたしは顔をしかめてそっぽを向いた。

一番興味を示していなかったあたしが、なぜ毒づかれなければいけないんだ。


あたし、中学生の山田なぎさは実弾を求めていた。

一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手に入れようとしていた。

1LDKのボロボロの公団住宅に母と兄とあたしの三人で暮らしている。

母一人の稼ぎと、ほんの少しの生活保護で生活していた。

兄は中学に行かなくなって、高校受験もしないで、家から一歩も出なくなった。

そのため生活はとてもキツイ。

何も買えない。

だからあたしは実弾を求めている。

中学を卒業したら自衛隊に入って、兵士になるつもりだ。

実弾以外のことには興味がない。

そのため、海野藻屑という少女にも無関心だった。

それなのに、海野藻屑はなにかとあたしに絡んでくる。

嘘つきで残酷だが、魅力的な容姿の彼女とあたしは徐々に親密な関係になっていく。

だが藻屑は、いつも痛そうに足をひきずっていて、その足は父親の虐待によるもので……。

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