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少しイカレてるくらいがちょうどいい
『銀二貫』 高田郁 幻冬舎時代小説文庫

Osaka Book One Project

大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本。

大阪商人の鏡、ここにおります。



安永七年(一七七八年)、睦月。

雪の日のことだった。

大阪の寒天問屋「井川屋」の主人である和助は、茶屋の店先で銭袋の粗い麻布の感触を確かめていた。

そこに先を急ぐようにして歩く侍の親子がいた。

その直後、建部玄武と名乗る若い侍が現れて「仇討ち」と宣言して父親の侍を斬り殺す。

止めを刺そうとする建部を目の前にして、まだ幼い侍の子が父親を庇うようにして立つ。

その様子を見ていた和助はすぐに立ち上がる。

「ほな、早速に商談に入らせて頂きとうおます」

困惑する建部玄武に対して和助は、銭袋を見せてさらに続ける。

「建部さまの仇討ち、私にその銀二貫で買わせて頂きとうおます」

そこに入っていたのは、ひと月前の大火で焼けた大阪町民の心の拠り所である天満天神宮を建て直すための資金として苦労して用立てたものだった。

侍の少年は井川屋に引きとられ松吉と名を改め、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。

料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志す。

だが、またもや大火が町を襲い、嘉平と真帆は行方知れずに……。


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